一桥大学がソニー、パナソニック、富士通、資生堂と共同で、 デザイン組織の共通評価指標を検討?作成
2021年4月30日
一桥大学は、経営管理研究科内に設置した「データ?デザイン研究センター」において、ソニーグループ株式会社クリエイティブセンター、パナソニック株式会社デザイン本部、富士通株式会社デザインセンター及び株式会社資生堂クリエイティブ本部と共同で、社内デザイン組織の活動や成果を共通の視点で量的に評価する指標を検討?作成しました。
背景:
日本は、大企業を中心に、社内にデザイナーを雇用する制度(インハウスデザイナー制度)が普及していますが、そのような社内デザイン組織(デザイン部等)は、他の部門?部署と職能が大きく違うために、組織活動の成果が量的に評価しにくいという課題を抱えています。このような組織活動評価の難しさは、デザイナー人材の雇用や処遇、あるいは企業経営に対するデザイン機能の事業貢献の計測評価という観点とも深く関係しています。このような課題を解決しデザイン経営を促進していくためには、企業を横断する形で、デザイン組織の活動を共通の視点で量的に評価する手法の開発が求められます。一桥大学は、「データ?デザイン研究センター」において、ソニーグループ株式会社クリエイティブセンター、パナソニック株式会社デザイン本部、富士通株式会社デザインセンター及び株式会社資生堂クリエイティブ本部と共同で、そのような手法の開発を進めています。
具体的な取り组み:
一桥大学「データ?デザイン研究センター」では、ソニーグループ株式会社クリエイティブセンターが、社内で試作し運用してきたデザイン組織の客観評価のための大規模社内調査の仕組みを原案として、パナソニック株式会社デザイン本部、富士通株式会社デザインセンター及び株式会社資生堂クリエイティブ本部でも同様の社内サンプル調査、検証を行いました。調査対象は、事業部等、デザイン組織から見たステークホルダーです。回収できたサンプル数は、ソニーが134サンプル、パナソニックが136サンプル、富士通が115サンプル、資生堂が80サンプル、4社合計で465サンプルでした。
これらのデータをもとに、因子分析という手法を用いて、デザイン组织の评価としてどのような要素が高い説明力を持つのかを検証した结果、「商品开発力」「情报の提供」「ブランドの一贯性」「アウトプットの速度」「コスト」の5要素が抽出されました。この中で最も重要な要素は「商品开発力」と「コスト」でした。さらにこの结果を用いて、社内他部门の所属员によるデザイン组织への満足度を推计するための式を、重回帰分析手法で导出したところ、次の式のようになりました。
デザイン组织への社内他部门での満足度(%)=
0.478×「商品开発力」スコア+0.15×「コスト」スコア+0.246
この结果についての决定係数及びその统计的有意性を検定したところ、决定係数搁2=0.425(水準1%以下で有意)であるとの结果を得ました。この决定係数とは、この重回帰式が実际の现象をどの程度再现できているかの「あてはまり」を测る指标とされており、0から1の间の値をとり、大きいほど现実の再现性が高いと考えられます。今回の结果は、决定係数としては高いものとは言えませんが、有意性の検定については良好な结果を得られましたので、调査自体の正确性及びその分析结果の妥当性については、一定の成果を収めたと考えられます。
なぜ决定係数がこのようにあまり高くなかったのかについては、この5要素それぞれの重要度及び重回帰分析による推计式が、参加4社によって、それぞれの公司戦略を强く反映し大きく违っていたからだと考えられます。つまり、ソニー、パナソニック、富士通及び资生堂では、それぞれの公司内でデザイン组织への期待や评価のポイントが大きく违っているということを示しています。したがって、同様の调査に参加する公司がもっと増えて多様な公司戦略が反映されれば、重回帰式及びその决定係数の质は向上していくと考えられます。
これらの分析結果を受けて、一桥大学「データ?デザイン研究センター」としては、元の調査項目、調査方法及び導出された5要素とその重回帰式を用いて、各企業におけるデザイン組織のパフォーマンスを評価する指標(Key Performance Indicators: KPI)が策定できると結論づけました。このKPIを用いることで、自社のデザイン組織が、どのような内容によって、どの程度の社内満足度を獲得できているのか、そしてそれは他社と比較してどのような水準なのかを相対比較することが可能になると考えられます。社内デザイン組織を持つ幅広い企業が、量的経営指標として広く活用することで、デザインを経営や事業に貢献するリソースとして活用出来ることが可能になると考えられます。
今后の展开:
今回の结果をさらに深く分析し、事业部ごとにどのような违いがあるのか等の理解を试みるとともに、他にも活用に足る指标があるかどうかを探索する予定です。また、デザインが公司経営に贡献できる分野は、主に「ブランディング」と「イノベーション」である(2018年経済产业省?特许庁「デザイン経営宣言」より)と考えられますが、今回の结果によれば、「ブランディング」よりも「イノベーション」の方が优位でした(「商品开発力」の方が「ブランドの一贯性」よりも重要との结果より)。このことがどのような意味を持つのかについて、さらに検証を进めたいと考えています。
他方、この碍笔滨研究に参加していただける公司をさらに増やすことで、结果の质的向上も目指したいと考えています。
一桥大学「データ?デザイン研究センター」について:
?桥?学(东京都国?市)が、2019年に経営管理研究科内に设置した研究组织であり、デザイン経営やデータ?サイエンスを含む情报学に関する教育プログラムの开発并びに当该分野に関する研究活动を?なっている。
お问い合わせ先:
一桥大学総務部広報室
E-mail:pr1284@ad.hit-u.ac.jp
罢贰尝:042-580-8032 贵础齿:042-580-8016
?桥?学データ?デザイン研究センター
E-mail: sba-hddrc@hub.hit-u.ac.jp
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