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一桥教员の本

読書会の効用、あるいは本のいろいろな使いみちについて : イングランド中部Tグループの事例を中心に

読書会の効用、あるいは本のいろいろな使いみちについて : イングランド中部Tグループの事例を中心に

井川ちとせ
小鸟游书房 2025年2月刊行
ISBN : 9784867800676

刊行時着者所属:
井川ちとせ(社会学研究科)

着者コメント

 ワイングラス片手に本そっちのけでおしゃべりに兴じる中产阶级の中年女性の集いというステレオタイプとともに、読书会が英米で急激に存在感を増したのは1990年代后半のことです。本书が焦点を合わせるT読书会は、ステレオタイプに合致するかに见えてそれを逸脱し、しかし具体的状况においては発话行為によって白人中产阶级女性というカテゴリーを动员し、集合的アイデンティティを积极的に立ち上げもします。本书は、読书会の参与観察と闻き取り调査を通して、协力者がイギリス社会の现実をどのように生き、また想像しているか、さらには谁がイギリス人の典型として表象されるに相応しいと考えているかを、明らかにしようとします。

 扱うのは、2014年9月から2024年10月にかけての、読书会を含む种々のイベントの参与観察记録と、个别闻き取りの音声データ、私信、読书会に取り上げられた活字と映像のテクスト、メーリングリストや活动记録、会员がさまざまな媒体に投稿した记事やコメントなどです。この间、イングランド中部および北西部の九つの読书会と叁つの学外讲座を参与/観察し、74名の一般読者に闻き取り调査をおこなったほか、図书馆司书、大学の创作コース讲师、书店主、雑誌编集者、慈善団体の职员やその外部评価を担った大学教授に闻き取りを重ねました。それらの记録はおもに、T読书会の事例を相対化すべく参照されます。协力者から提供された资料に加え、メディア言説、政府机関や非営利団体の文书、フィクション?ノンフィクションのテクスト、読书会向けの巻末付録を含む〈パラテクスト〉やアダプテーション(小説のテレビドラマへの翻案など)の解釈を交えて、本书は、アカデミア内外の「本のいろいろな使いみち」に光を当てます。

 なお本书は、同时刊行の『アカデミアの内と外——英文学史、出版文化、セルフヘルプ——』(小鸟游书房)の姉妹编であり実践编です。専门化の谓である近代化の过程で、小説は物语の外の世界との照応関係を否定することにより、他のジャンルと袂を分かっていきますが、现代の読者が19世纪のリアリズム小説を好んで読むのは、小説が「リアリスティック」で、読めば百年前の事柄について知ることができると信じるからではないでしょうか。しかしながら、そもそも今日「文学」と见なされているテクストの作者は、それが芸术的な有机的统一体としてのみ読まれることも、反対にもっぱら现実の世界についての情报を得るための启発的な娯楽として消费されることも、想定していませんでした。小説を学术研究の対象として格上げする试みは、英文学者メアリー?プーヴィも述べるように、読むことを、他の高度に専门化された仕事と区别がつかないほど难しい営みにしてしまいました。『アカデミアの内と外』においては、别様であり得た英文学史を提示し、出版文化、セルフヘルプ、そしてときにミドルブラウという蔑称でひと络げにされる独学者や一般読者の実践に着目します。20世纪初头に英文学が大学の教育课程として制度化される过程で生じた、テクストを読むことの意味の、アカデミア内外における隔たりを架桥すべく、2册は相补的であることを目指しています。よろしければ『読书会の効用』を先にお読みになって、相互参照していただけると嬉しいです。纸を含む装丁にも注目していただくと、本づくりの奥深さが感じられるかもしれません。

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